誰にでも心の奥底にまで染み入る一節があり、繰り返し再読する愛読書があります。書籍を愛する人々にとって、本は宝石にも優る大切なもの。蔵書印は、その証です。日本における蔵書印の歴史は、はるか8世紀にまで遡ることができます。正倉院に残る光明皇后の印が日本最古のものであるといわれています。蔵書印を押す場所については、特に決まりはありませんが、いちばんポピュラーなのは扉、そして奥付けと本文の間、本文の最初の頁あたりです。ちなみに、本文の特定の頁に押して紛失や盗難を防ぐ隠し印と称される特殊なものもあります。最近では、CDやFDにも押される場合もあります。

書や水墨画、日本画の作品に自ら手がけた作品であることを印すのが落款印です。書画の美の仕上げを成すものであるといっても過言ではありません。それだけに、ほんとうに納得のいく印を手にしたいものです。一般的に用いられる印材としては、青田石(セイデンセキ)や寿山石(ジュザンセキ)などがあります。陰刻(白文)と陽刻(朱文)がありますが、陰刻が正式とされています。また、その形は方形が一般的ですが、長方形、ひさご形などもあります。大きさは作品や押す場所によって異なりますが、書の作品に押す場合は、漢字であれば大きめの印、仮名は小さめの印を用います。