デートの待ち合わせに来た彼。
「目、閉じて」と言われるままに、何だろうとドキドキしながら目を閉じる。コツッとおでこに小さく堅い感触。
「何したの?」と私。
「今度、車買うんで実印作ってきたんだ。実印って家や車とか大きな物を手に入れる時とかに使うんだろ。だからお前に押しといた」
慌てて見ると、朱色でクッキリと彼の名字が…。
「もぉー」と文句を言いつつ、消えないように見えないように、私は帽子を目深に被った…。

神奈川県 佐々木 紀美子(32歳)

名前がよくありませんねと言われた。
病気になってまもなくの頃だ。
心細く何かにすがりたかった私は、言われた通りに名前を変えた。
あれから何か変わっただろうか・・・。
やがて自分の子供の名前を考える時がきてやっと分かった。
親がその子をたくさんたくさん思いやって、名前をつけるということを。
私は
 仏壇に手を合わせてから、名前を元に戻した。

福岡県 吉牟田 彩由実(31歳)

「サンタなんて本当はいないんだぜ」。
小3にもなると大半がこっちの意見。
「絶対いるもん!」言い切ったものの、一体どうやって証明しよう?考えた末、私はイヴの夜、サンタへ手紙を書いた。
「サンタさん、本当にいるのならしょうこにハンコおしていってください。よしの まき」。
翌朝、ドキドキしながら聞いてみると、そこにはちゃんと「証拠」が押されていた。朱くはっきり『吉野』と・・・。

大分県 滝石 真紀(27歳)