天皇に木製の印を献上したという史実が「日本書紀」に記されています。祭礼に用いた神具であっと推測されており、これが日本の文献にはじめて登場する印章です。また、現存する最古の印章は国宝に指定されている「漢委奴国王」と刻まれた金印で、漢の光武帝が倭の国王に贈ったものです。このように日本の印章の歴史は千数百年前までさかのぼることができますが、本格的な印章制度がはじまったのは、大化の改新で二官八省制が定められ、大宝律令と共に印章の制度が制定された時からです。天皇の内印、太政官の外印、その他の用いる諸司印などの官印が政府によって鋳造され、公文書に捺されるようになりました。また、地方では官印に準ずる印として使われた寺社印も見ることができます。印材はすべて銅印です。官印の捺された公文書は現在も正倉院などに数多く残っています。

図版出典 / 福岡市博物館所蔵


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