紀元前5500年頃に、今日の印章の起源となる「印」が創り出されました。壮大な古代文明を築いたメソポタミアの人々が石や粘土、貝殻などを素材として個々の「印」を彫り、自らの証として用いたのです。当時の人々は「印」には神聖な力が宿ると信じ、これを穀物や織物など大切な所有物に押し、護守の封印としたのです。そのかたちは、当初はスタンプ形式でしたが、やがて円筒状(シリンダー型)のものが登場してきます。その連続した印影に永遠の神聖な力を感じ取ったのかもしれません。これを発明したのはシュメール人で、年代的には紀元前3300年頃といわれています。ここには魚や獣などから国王や神話まで多彩な内容が描かれています。円筒印章は次第にかたちを変えて、樽形となり、穴をあけて金・銀線を通し、指にはめるようになります。これが、指輪印章のはじまりではないかと考えられています。

図版出典 / ハンコロジー事初め 新関欽哉著


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